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北朝鮮のアイドルと海産物について

北朝鮮のアイドルについて

このブログでは↑の部分に「北朝鮮のアイドルと海産物について」と掲げている。

これはなんとなくつけたものなんだけど、最近になってある人に

いつになったら北朝鮮のアイドルについて書くの?」 

と言われた。

 

 

 

 

 

 

 

え?

いいの?

 


アイドルが苦手

 このブログではそもそも北朝鮮抜きにしてもアイドルと海産物について触れたことなんか一度もない。書こうと思ったこともない。

 いや、書こうと思えば書けるから上に掲げてるんだけど、そもそも需要ないだろうし、なんとなく書いたら面白いかなくらいの軽い気持ちで載せていた。

 で。

 僕は多分、北朝鮮のアイドルについてはすごくニワカだと思う。僕も色々聴いたり調べたりしたけど、あくまでそれは時間つぶしの類でしかなくて、多分100人いたら1番詳しい~が関の山くらいの知識しか持ってないと思う。

 だから僕が書くことはかなり思い込みとかフィクションが混じると思う。

 でも北朝鮮自体、フィクションで成り立ってるような国なので、大目に見てくれると嬉しい。

 と、予防線を引いておく。

 

 実は僕は日本のアイドルが苦手だ。

 どこの誰とは言わないし分からないけれど、歌番組でよくわからないアイドルがキンキンとした声で歌ってるのを見ると、なんだかなあという気持ちになる。

 音程があってなかったり、あってると思うと口パクだったりする。たまに本当に上手な人がいてビックリしたりもするけど、人が多すぎてどれがだれだか分からなくなる。

 

 妹が坂道ヲタだからゴールデンは無理やり歌番組を見させられるし、土日にリビングに行くと大抵『乃木坂工事中』か『KEYABINGO』か『ひらがな推し』の録画が流れているので、さすがに平手友梨奈と長濱ねるくらいは覚えてしまった。

 しかしいくら「顔のいい女性」をたくさん見せられたところで、僕は全くときめかない。別に誇張して言ってるんじゃなくて、昔からこうなのだ。

 確かに綺麗だとかかわいいとかは思う。人並みの感性と言えるかどうかは分からないが、整った顔というものがおおよそどのようなものなのかは経験でなんとなく察しがつく。しかし、こと「刺さる」顔となるとこれが難しい。まずアイドルにはあまりいない。

 僕はあまり女性を顔で判断しない。そういう感覚がよくわからないし、そもそも自分の顔がお世辞にも整っているとは言えないものなので、自分がされて嫌なことは人にもしたくない。

 ただ昔から「お前はどんな人がタイプなんだ」と聞かれる機会があって、そういう時の返事として、こういう顔が好きですと言うことはある。女優だったら安達祐実とか、スポーツ選手ならカーリング藤澤五月選手とか、卓球の伊藤美誠選手とか。

 まあでも正直、今挙げた三人にもあんまりピンときていない。って書いたら失礼かもしれないけど、この人達が自分のすぐそばにいたとしても、告白しに行こうという気にはならない。されたらめちゃくちゃ嬉しいだろうけど。

 

 閑話休題

 僕は日本のアイドルに苦手意識がある。

 彼女らの大半は顔で選ばれていると思う。

 なんかこう書いちゃうと偏見だけど、例えばめちゃめちゃ歌が上手で激しいダンスもこなせる18の久本雅美がアイドルのオーディションを受けたとしたら、多分地上アイドルの選考を突破することは難しいと思う。

 山本彩くらい歌えて三浦大知ばりに踊れる18の柴田理恵がいたとしても同様だと思う。

 

 これはK-POPにも言える。

 こっちはこっちでみんな同じ顔に見えるし、それも整形大国のなせる力業なんだと思うんだけど、ともかくK-POPアイドルの多くが「エロさ」「きわどさ」を売りにしているような気がしてならない。

 彼女らがパフォーマンスする時、しばしば尻を突き出して体をくねらせるダンスが挿入される。僕は前にKBSの音楽番組(多分Mステスーパーライブくらいの位置づけ)を通しで観たことがあるんだけど、セクシーさを売りにしてそうなアイドルの多さに大変驚いた。ああいうものは少数で目立つから日本から見ても際立って見えるものだとばかり思っていたけれど、なんか普通にそういうのばかりだった。ショックだった。

 日本のアイドルが女性性を換金するようなことをやってて違和感感じちゃうな~と思ってたら韓国もそうだった。もしかしたら世界共通なのかもしれないと思い始めた。韓国に夢を見すぎていたことも敗因かもしれない。

 

 ちょっと話題を変えるけど、僕はエッチなものとかエッチな表現がすごく苦手だ。

 いやまあ、そういうものが存在してるのは分かるし、闇雲に否定する気もないんだけど。

 でもいざエッチなものを眼前に突き出されて「さあ消費しろ!」と言われると、オエッとなってしまう。

 セクシーなものに対する嫌悪感というか、不快感みたいなものがある。

 これも話すと長くなっちゃうから今回は書かないけれど、僕は男の自分に性欲ってものがあるのが昔からすごく嫌で気持ち悪くて、できることなら女に生まれてきたかったとずっと思ってきた。

 世の中の男性は少なからず性的なコンテンツを消費することで本能的な欲求をやり過ごしていると思うんだけど、そういう立場にいる自分が本当に情けなくて、めちゃくちゃ悩んできた。今だってまだ悩むことがある。

 性欲がある間っていうのは、色々なことがフェアに見られなくなると思う。集中力も欠くようになる。浪人中はそれに抗いたくてめちゃめちゃ我慢してた時期があったんだけど、却って勉強効率が落ちてしまってとても悔しかった。どうして神様は人間をこういう風に作ったんだろうって恨んだりもした。

 

 と、そういうわけで、少なからず性を売り物にしている面がある韓国のアイドルや、そこまでではないにしても顔採用で「男」の期待に応えるラインナップをしている日本のアイドルに対して、僕は嫌悪感がある。こんな風に整理してみたことは今までなかったけど、多分ずっと心の中でこんなようなことを思っていたんだと思う。

 


北朝鮮のアイドルとは

 多分ここまでで挙げたような期待を北朝鮮のアイドルに一手に任せてしまうと失望する。

 決して北朝鮮のアイドルはこれらの望みを叶えない。

 彼女らもまたアイドルであり、アイドルである為には最低限のビジュアルというものを求められるだろうからだ。

 しかし彼女らは、男性に媚びない。媚びているのかもしれないけれど、日韓のもののようにギトギトしていない。

 

 NK-POPという音楽ジャンルがある。

 K-POPをもじったもので、要はNorthKorea-POPを縮めただけなのだが、僕は高3から浪人にかけて、このジャンルの音楽を聴きまくっていた。

 前のエントリに書いたテクノロックやシティポップみたいなものも色々聴いていたのだが、こちらに割く時間も多分にあった。

 

 僕がNK-POPを聴く手段は大きくふたつあった。

 ひとつはニコニコやYouTubeで拾ってくる方法。

 もうひとつは、毎日15時から23時頃まで放送している『朝鮮中央テレビ』を受信する方法だ。

 

 朝鮮中央テレビフィラーが非常に多いテレビ局だ。多分流すものがないんだと思う。

ニュースは一日三回で決まっているし、律動体操を始めとする教育教養系の番組も毎日プログラムに組み込まれている。

 それ以外の時間には大抵、抗日映画や抗日ドラマなどのプロバガンダ番組がねじ込まれている。

 しかしそれぞれの番組は尺もまちまちで、プログラムもおそらく緩やかに組まれているに過ぎない。従って番組と番組の間に大量のスキマ時間が発生する。

 そこで流されるのが、件のNK-POPだ。普通の歌謡曲も流れないことはないけど、最近はポップス寄りのものばかりだ。

 

 NK-POPとはいっても、肝心の歌声はぜんぜんポップスじゃない。

 音楽のオケの部分は、なんだか70~80年代初頭あたりのテクノポップを彷彿とさせる出来で、これは北朝鮮で使われているシンセサイザーが長い間代替わりしていないことに起因するらしい。

 そんでもって歌もかなり「変」。ポップスと言われると違和感がある。すごくプロいことだけは分かるしみんな上手いんだけど、正直誰の歌声を聴いてもそんなに差が感じられない。

 これは北朝鮮で歌手としてプロデビューするためのコースに問題がある。

 

 北朝鮮のトップ歌手は大抵、金元均名称音楽総合大学を卒業している。これは平壌にある国立の音楽大学で、日本で言う東京藝大の音楽学部に相当する。

 北朝鮮には日本のレコード会社よろしく多くの『楽団』があるのだけれど、そこに入ろうと思ったらとりあえずココを出ないといけない、みたいなところがある。歌手志望も同じで、ココで声楽を専攻してプロ歌手になった人は大勢いる。

 ここのOBOGの歌を聴くと、もうめちゃめちゃに上手なのが分かる。ただやっぱり声楽の理論に基づいて教育を受けてきた人たちの歌声なので、どうしても日本のポップスと比べられない。

 僕はこれもこれで素晴らしいことだと思う。平原綾香とかsuperflyみたいな歌手はいないんだけど、ただみんな綺麗な歌声をしている。本当に上手な人しかプロになれない厳しい世界だ。顔がそうでもない人がちらほらいたりして、本当に実力重視なんだろうなという気がしている。化粧っ気もあまりないし媚びるような歌い方も踊りもしない。ただ己の芸術性を突き詰めるが如きストロングスタイルで、北の大地の情緒をたっぷりに歌い上げてくれる。

 や、北の大地ってのは北海道のことじゃないよ。

 


北朝鮮芸能界のシステム

 北朝鮮には所謂『楽団』というものがある。

 大抵のアーティストは、国内にあるいずれかの楽団に所属している。

 これらの楽団はそれなりの頻度で代替わりをする。どこの楽団も昔からあったりするけれど、中の人達は一定ではない。

 まあ別にオーケストラとか劇団だったら普通のことなんだけど、こと歌手グループである楽団に至っても、所属歌手がグルッと入れ替わる。採用試験があるのか知らないけれど、ともかくどこも比較的フレッシュな面々がいるのはそのためだ。

 この辺は『モーニング娘。』っぽいかもしれない。

 

 で、この楽団ごとに振られている歌手も、実力や本人の希望によって転籍したりする。

 ここで北朝鮮芸能界に君臨する伝説のアイドル・玄松月を例にとってみよう。

 彼女は平壌音楽舞踊大学=現在の金元均名称音楽総合大学で声楽を専攻して飛び級で卒業したあと『旺載山軽音楽団』の専属歌手としてデビューを果たしている。

 しかしここで1995年にリリースした「将軍様と海兵たち」がヒットを飛ばすと、今度はシンセサウンドに強みがある『普天堡電子楽団』に移籍する。ここで1999年にリリースした「駿馬娘」という曲が空前絶後の大ヒットを飛ばして、彼女は北朝鮮を代表するスターアイドルへとのし上がっていく。

 

 


(どちゃくそ上手いから聴いて)

 

 

 普天堡のサウンドとバッチリ噛み合った玄の歌声は北朝鮮民衆の心を鷲掴みにして、このあと2001年の「平壌を愛する」、2002年の「兵士の足跡」、2006年の「未来は美しい」と続けざまにヒットを飛ばしていく。

 2012年には『銀河水管弦楽団』に移籍して団長に就任、しばらく行方不明になったりしたのち2014年から現在の北朝鮮最高峰の『牡丹峰楽団モランボン楽団)』に移籍。団長を務めたのち、2018年からは新たに結成された三池淵管弦楽団のローンチメンバーとしてやはり団長のポストに就いている。

 

 とまあ、こんな感じで実力に応じて所属楽団がステップアップしていったり新チーム立ち上げで応援に行ったりするので、このシステムはなんだかAKBグループに似てるな~と思ったりもする。SKEからAKBになったり、かと思ったらHKTに出向になったり・・・って、これを出向と言っちゃいけないか・・・

 

 ちなみに「コンギョ」で知られている「攻撃戦だ(攻撃の勢いで)」は、現在『旺載山』に所属している尹恵英が『普天堡』時代の2010年に歌ったものです。多分これ読んでる人にとってはこっちのほうが馴染みがあるかもしれない・・・

 

(ピンときてない人用)

 


総括

  別に彼女ら楽団員は歌う人たちが全部じゃない。

 

(音量注意) 

 

 これは『牡丹峰』のコンサートで、いつのかわからないけど多分2013年の頭くらいの映像だと思う。

 最初の4分我慢して観てみて欲しいんだけど、ギターソロはどちゃくそかっこいいし、ヴァイオリンだってめちゃんこうまい。

 日本にもこういうグループがいたっていいと思うんだけど、需要ないんだろうなあ・・・

 

 ここまで読んできてくれた人なら察しがつくだろうけど、彼女らはもれなくプロパガンダで使われていて、その歌詞には政治的なメッセージが色濃く出ている。

 で、そういうのがあんまりない曲の中で、僕が特に好きな北朝鮮の曲が『愛すなり』。

 

 

 

 下の動画で軍服着てテナーソロってる人、どう考えても生まれる国を間違えてる。

 戦争になった時にこの人を撃たなきゃいけないのか~とちょっと思ったりするけど、多分僕が戦地に駆り出される頃にはこの人は死んでるんだろうな・・・

 まあ戦争にならないまま終わるのに越したことはないんだけど。

 

 北朝鮮の音楽家はほとんどプロバガンダの為のみ存在しているようなもので、彼らに自分たちで考えて創作する自由なんかないんだろうけれど、僕はこうして敵国の自分にまで感動を与えてくれる北朝鮮の音楽家はすげえと思うし、音楽って素晴らしいと思う。

 僕もいつか全然知らない国の一生会わないような人達にも感動を届けられるような人になりたいなと思う。

 思うだけなら簡単なんだけどね。

 

 あ、そうだ。アイドルの話をしてたんだった。

 ちょっともう2時くらいになりそうだし明日一限だしでかなり駆け足になってしまったけど、5000文字書いても書きこぼしがまだまだあるくらいにはNK-POP沼は深いです。そして僕みたいに現代日本のポップミュージックのシーンに商業的な策略や人権の軽視が透けて見えて辟易としている人には、やっぱり北朝鮮の音楽を聴いてみて欲しいと思います。

 人権の軽視の度合いでいったら北朝鮮のほうがよっぽどひどいんだけど、そういう抑圧の中で精一杯表現をしている彼らの作品を観たり、それを通して苦しい環境で藝術と向き合う彼らの姿勢を見ていると涙が出てきます。きっとやるせない思いをいっぱいしながら、やりきれない気持ちを作品にぶつけてるんだと思います。

 で、特にそんな重たいこと思わなくてもやっぱりNK-POPはいいなって思う。聴いてくれって軽率に言えないんだけど、もし気が向いたらトライしてみると全然知らない世界が開けるかも。

 

 あと最後になるけどやっぱり金正恩ってクソだわ。国内の才能を飼い殺しにしている。自分をヨイショする曲ばっか作らせてないでもっと国内のアーティストにノビノビと表現させたってくださいお願いします・・・

 

 


おまけ

 面白いものを見つけたので貼っておきます。

 北朝鮮にも軽音文化が普及するとええな・・・