高校生の時に時給880円でローソンのバイトをしていたことを、たまに思い出す。僕のおばあちゃんと同い年くらいのおばあちゃんオーナーが、早朝からLチキとかを一気に揚げて、それを9時くらいに引き継いでいたっけな。
揚げ物は鶏肉で6時間、それ以外で8時間で廃棄になる。シフト中に廃棄になる揚げ物が結構あって、シフト中にどかどか捨てさせられた。当時から貧乏性だった僕は、どうせ廃棄になるならと、オーナーに言って揚げ物をとっておき、バックヤードでむしゃむしゃ食べていた。
多分、僕ほど食いしん坊なバイトがいなかったので、廃棄の揚げ物を食べてよくなってからも、揚げ物を食べる人は全然いなかった。1つ上のギャルとシフトが被ることがあって、僕が休憩中にLチキを食べてると馬鹿にしてきた。弁当の廃棄だってあるんだからそっち食えばいいのにとも言われた。
実際、弁当の廃棄はあった。僕は当時から炭水化物をあまり好かなかった。なんだろう、食べ放題店とか大盛り店とか、それこそ二郎みたいなところに行けば喜んでガツガツ食べるんだけど、限られたカードの中で炭水化物に行く気にならないというか、だったら揚げ物行ったほうがコスパがいいような気がしていた。
いまだに本当かどうか分かってないけど、僕が昔に誰かから聞いた話として、肉や揚げ物が太るのは糖質をブーストさせるからで、肉や揚げ物だけをひたすら食べる分には太らない、というのがあった。僕はこれを素朴に信仰している。多分嘘だと思うけど、そういうことにして、いまだに肉ばかり食べている。
ローソンは幼馴染に誘われて入った。いや、幼・小・中・高と一緒だったから紛れもなく幼馴染なんだが、よく喋るようになったのは中学2年くらいからだった気がする。そいつは今はDJをしているが、当時から音ゲーに大変ハマっていて、ゲーセンでお金をたくさん使っていた。一方僕は、当時から一貫してひもじく、金のかからない遊びとして、サーバーを借りてコードを書いてテキストサイトをやったり、PCに仮想シンセを入れて音波を曲げたりしていた。
それくらいの頃に、僕は彼に、有償のソフトシンセを買って優勝したいわね・・・🐍みたいなことを言った気がする。そしたら彼が働くローソンに連れて行かれた。店長が出てきて、履歴書をまじまじと読まれて、3分くらい喋って、そのままそこで働くことになった。
初日は共通の研修用ビデオを見て(前陳とかが出てきたけど、ゼンチンって言われても漢字が分からないので、善なるチンk・・・?と思ったのを覚えている)、即席知識でレジをやって、揚げ物をやって、3時間くらいで出てきた。流石に即払いではなかったけど、退勤して駅まで歩きながら、これで2000円・・・これでラーメン3杯・・・ゲーセン20クレ・・・うまい棒200本・・・と思ったりしていた。
しかし徐々にやらされることが増え、苦しくなっていった。マルチタスクが壊滅的に出来ないので、レジしながら品出しして、廃棄通して、たまに老人にプリンターやLoppiの使い方を教えていたら、揚げ物の廃棄なんて絶対に出来ない。ほとんどすっぽかす。揚げ物を売るにしたって、あれもこれもと言われるとこんがらがってしまい、コロッケとメンチカツを頼んだ人に、メンチ2つ分を請求した上でコロッケ2つを渡したりして、クレームになった。
クレームになった時、店長がすんごい頭下げてて、めちゃくちゃ申し訳なかった。店長は何も言わなかったけど、バックヤードでバイトリーダーから泣くまで怒られた。バイトリーダーは僕の履歴書を取り出して「偉そうな志望動機ばっかり並べて、どうせ金目当てで全部嘘だろう、お前みたいな無垢そうな能無しが一番キモいんだよ」とか言いながら椅子を蹴ってきた。数ヶ月後、バイトリーダーは店のお金を盗んだ咎で警察に逮捕された。他の先輩バイトから、バイトリーダーが情けないことになっている防犯カメラの映像を見せてもらった。少しスカッとしたけど、同時に、俺にスカッとする資格はないよな・・・?とも思って、モヤモヤした。
月に8万円くらい稼いでいた。最初は現金収入があると無敵感があったが、徐々に仕事のしんどさを思うと使いたくなくなってきた。ずっとバックれたいけど、バックれたとしても次のアテがないし、そのまま職なしになる気がしたから、なんとなく貯めていた。(最終的に大学受験料とか予備校代で全部なくなった)
当時は1000円でも大金、10000円なんて超大金というマインドだった。それと同時に、これからいっぱい勉強して偉くなって稼いで、お金がたくさん手にあるようになったら、この感覚も薄らぐのかなあ、とも思った。金銭感覚が破綻して落ち目になる人の話はたくさんあるので、そうはなりたくないと思ったが、しかし一度は、金銭感覚が破綻するくらいお金を得てみたいものだとも思った。
今の子供がどうか知らないけれど、僕の子供の頃では、大きいお金の単位といえば100万円だった。テレビやイベントで高額賞金といえばとにかく100万円だった。ガキの金銭感覚では、100万円もあれば車も家も買えるし、飛行機にも好きなだけ乗れると思っていた。
月に8万円稼いでいた当時も、流石にガキ丸出し金銭感覚ではないものの、就職成功してエリサラになれば月20万稼げるのだから、頑張って節約すれば100万なんてすぐ作れそうで、夢があるなあ!と思っていた。
さて、浅島は今月で社会人5年目である。自分で言うのもキショいが、同年代の中央値よりは稼げている。人生に極めて悲観的になっていた昔の自分が見たら、きっと安堵してくれるだろうよ、という感じにはなれている気がする。
おまけに、かなり安い家に住んでいる。昼も自炊弁当だったり、カップ麺だったり、社食の安い日替わり定食だったりする。相変わらず趣味にはお金をかけず、チャリで移動している。めちゃくちゃ残業してて、多少は残業代も入ってくる。
これで、4年貯金し続けて、どれくらい貯金できたかというと、100万円に毛が生えたくらいである。
この100万円を前にしたときの僕の気持ちは複雑だ。100万もあるのだから、その気になれば飛行機にもたくさん乗れるし、安い車なら買えなくもない。でも、その先を想像する。急に病気で働けなくなったとしたら、100万円なんか生活費でたちまちに消える。奨学金の残債も貯金の5倍くらいある。怖くてとても使えない。
時給880円の時は、コンビニで水を買うなんてもったいない、家から持っていけばほぼタダでしょと思っていた。米だってパックごはんとか信じられない、炊けば全然安いもの、と思っていた。では今はどうかと考えると・・・これがあんまり変わってない。コンビニで水とか買いたくないし、米だって・・・と思っている。
冒頭の「〜たまに思い出す。」というのがどういう時かというと、普段お金を使って何かをしたり、お金を預かって動かしたりする時だ。自分の金銭感覚を自覚させられるときに、ふと自分のマインドはどれくらい変わっただろうかと考えるが、毎回、あんまり変わってねえなと思う。
2000円ってめっちゃ大事だし、なんでもできると思う。ラーメン2杯食えるし、うまい棒も多分150本くらい買える。でも、100万円は、思ってたより手が届かなくて、思ってたよりしょぼい。これだけあっても何も出来ない。多分、既に1億円とかある状態で100万円手に入ったら、もっとなんでもできる感が出てくるのだと思う。
でも、そう思いながら1億円とか得たあとに100万円もらったとして、やっぱり「思ってたより手が届かなくて、思ってたよりしょぼい。」とか思うんだろうか。思いそうだなあ。でもそんなもんなのかしらねえ・・・。
とはいえたまに、有り金で遊んだらこんなこと出来るな、とかは考える。家族全員でフィンランドにオーロラ見に行ってギリだなとか、仕事辞めてLCCでサバンナにサファリしに行って帰国して就活してギリだなとか、いろいろ考える。満員電車の中、職場のトイレの中、目黒二郎の列の中・・・などで考えている。
お金があるかないかでいえば、ある。あるけど、何かしようと思うと足らない。足らないけど、頑張ればなんとかなるかもしれない。
あるんだかないんだか、結局よく分からないけれど・・・少なくとも、カネ、ガキの頃に思ってたほど大したものではない。あと、当時はなかったけど、セブンのななチキが、結構うまいね。今日の昼にイートインで、警備員風のおじさんと、ホームレス風のおじさんの間に、ぎゅうぎゅうに挟まって食べた。高校生の頃はタダじゃないと食べなかった、コンビニのフライドチキンを、お金を払って食べた。俺、お金あるかも。


